40代から2026-07-08監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

40代・50代からの介護職転職

この記事の要点

「もう45歳なんですが、今から介護の仕事に転職するのは遅いですよね」——面談で本当によく聞く言葉です。

皆さま、この「もう遅い」という言葉、僕は正直、介護業界に関してはあまり当てはまらないと感じています。介護は他業種と比べて、年齢の壁がかなり低い業界です。もちろん体力面での配慮は必要ですが、40代・50代からの転職者を積極的に採用している事業所は、関西でも数多く存在します。今日は、その理由と、年齢を強みに変える伝え方を整理します。

結論から言うと、40代・50代からの介護転職は、他業種の同年代の転職より間口が広いというのが実感です。理由は、介護が慢性的な人手不足であることに加え、社会人経験そのものが評価されやすい仕事だからです。

0. なぜ介護は「年齢の壁」が低いのか

厚生労働省の資料等でも、介護分野は幅広い年齢層の採用実績があることが繰り返し示されています。詳細な年齢別の統計は年度・調査により異なるため最新の公表資料をご確認いただきたいのですが、僕が現場で見てきた実感としても、40代・50代からの入職者は決して少数派ではありません。むしろ、事業所によっては即戦力としてリーダー候補への抜擢を前提に、経験豊富な世代を積極採用しているケースもあります。

多くの業界で年齢が壁になるのは、新しい技術・体力・柔軟性を若い世代のほうが持っていると見なされやすいためです。しかし介護の現場で本当に求められるのは、利用者への丁寧な対応、責任感、そしてチームでの落ち着いた振る舞いです。これらは若さより、むしろ社会人経験を重ねた方のほうが備えていることが多い、というのが僕の実感です。ここが今回の隠れた主役です。

僕の周囲の実感で言うと、面談に来られる40代・50代の方の多くが、実際の求人市場の状況を知らないまま「もう遅い」と自分で決めつけてしまっています。関西の介護事業所の採用担当者に話を聞くと、「若手だけでなく、むしろ40代・50代の応募を歓迎している」という声も少なくありません。高齢化が進む中で、利用者と年齢の近い職員を意図的に採用したいという事業所側のニーズもあります。この記事では、そうした現場の実態を踏まえて、年齢を強みに変える具体的な方法を書いていきます。

1. 40代・50代が評価されやすい3つの理由

1-1. 利用者との年齢の近さが安心感になる

介護施設の利用者の多くは高齢者です。同年代、あるいはお子さんやお孫さんの世代に近い年齢の職員に対して、若いスタッフとはまた違った安心感を持たれることが多いというのは、現場でよく聞く話です。

1-2. 社会人経験がそのまま「対応力」になる

クレーム対応、多様な人との関わり、責任ある立場での意思決定。40代・50代がこれまでの職業人生で積み重ねてきた経験は、介護の現場でもそのまま活きる場面が多くあります。前職が何であれ、この蓄積は他の未経験者にはない強みです。

1-3. 定着率の高さが採用側の安心材料になる

事業所側にとって、採用は投資です。若い世代は他業種への転職も含めて選択肢が広く、早期離職のリスクを懸念されることもあります。一方、40代・50代の応募者は「長く腰を据えて働きたい」という動機で応募することが多く、この定着志向そのものが採用側の安心材料になります。

1-4. 家庭を持つ世代ならではの共感力

子育てや、自身の親の介護を経験している40代・50代の方は、利用者のご家族の立場にも自然と想像が及ぶことが多いです。この「両方の立場が分かる」という感覚は、ご家族との連携が求められる介護の現場で、実は大きな強みになります。

2. 体力面の不安への向き合い方

ここで少し具体的な話をします。体力面の不安は、実際に働き始めてみないと分からない部分も多いのが正直なところです。だからこそ、いきなり負荷の高い環境に飛び込むのではなく、段階的に確かめていくアプローチが有効だと僕は考えています。

誤解がないように申し上げると、体力面の不安をなかったことにするつもりはありません。移乗介助や入浴介助など、身体的な負荷のある業務が存在するのは事実です。ただし、この不安への向き合い方には工夫の余地があります。

2-1. 身体的負担の軽い施設形態から始める

デイサービスなど通所系施設は、入所施設に比べて身体介護の頻度・強度が比較的軽い傾向があります。まずはこうした施設で経験を積み、体力面の見通しを立てながら、必要に応じて他の施設形態にステップアップする、という選択肢もあります。

2-2. 介助技術は「体力」より「コツ」で決まる

身体介護には、正しい姿勢・重心の使い方といった技術があり、これを習得することで身体的な負担はかなり軽減されます。初任者研修などの資格取得過程でこの技術を体系的に学べることも、40代・50代からの転職を後押しする材料になります。

2-3. 「10年後」まで見据えた施設選び

40代で入職する場合、10年後には50代になっています。今の体力だけでなく、将来的な働き方の変化(夜勤から日勤へのシフト、現場から相談員へのキャリアチェンジ等)まで見据えて施設を選ぶことをおすすめします。長期的なキャリアパスを用意している事業所であれば、体力の変化にも柔軟に対応してもらいやすいはずです。

3. 面接で年齢をどう語るか

面接で年齢について直接聞かれることは少ないですが、応募書類を見た面接官は当然、年齢を意識しています。ここで大切なのは、年齢を言い訳にも、無理な若作りの主張にもしないことです。

3-1. 「長く働きたい」を具体的な言葉にする

「長く働きたいです」という一言だけでなく、「この施設の理念に共感していて、腰を据えて貢献したい」というように、具体的な理由とセットで語ることで、説得力が大きく変わります。

3-2. これまでの経験を「介護の言葉」に翻訳する

営業職であれば「相手のニーズを汲み取る力」、事務職であれば「正確な記録・報告の習慣」、製造・物流であれば「体力と規律」。前職の経験を介護の現場でどう活かせるか、自分の言葉で翻訳しておくことが、面接準備の本体です。

3-3. 若い面接官が相手でも臆さない

介護施設の採用担当者や現場リーダーが、応募者より年下であるケースは珍しくありません。ここで臆してしまう方もいますが、面接は年齢の上下関係を確かめる場ではなく、一緒に働けるかを確かめる場です。謙虚さと対等な姿勢のバランスを意識すれば、年齢差は気にする必要のない要素です。

4. 資格取得のタイミングについて

40代・50代からでも、初任者研修・実務者研修の取得に年齢制限はありません。むしろ、社会人としての学習習慣がある分、若い世代よりスムーズに研修を修了する方も多い、というのが僕の実感です。焦らず、自分のペースで資格の階段を上っていくことをおすすめします。

もう一点付け加えると、資格取得の学習は、若い頃の学生生活の記憶とは違う形で進めることになります。仕事を持ちながら、生活のリズムの中に学習時間を組み込む必要があるため、最初は戸惑う方も多いです。ただ、社会人経験を積んだ方は、限られた時間の中で効率的に学ぶ方法をすでに身につけていることが多く、実際にスクールに通ってみると「思ったよりスムーズに進んだ」という声を面談でよく聞きます。年齢を理由に学習そのものを諦める必要はまったくありません。

4-3. 資格取得と実務経験、どちらを先に積むか

40代・50代からの転職では、まず入職して現場に慣れてから資格取得を目指すルートと、入職前に初任者研修だけ取得しておくルートの両方が考えられます。僕の実感では、体力面の見極めも兼ねて、まず短期間の初任者研修だけ済ませてから入職するという順番を選ぶ方が、精神的な負担が少なく進めやすいようです。ただしこれも唯一の正解ではなく、生活状況に応じて柔軟に決めて構いません。

(結論)「もう遅い」を検証する

ここまでの内容を、実際の行動に落とし込みます。まず、自分がこれまでの仕事で身につけた強みを3つ書き出してください。次に、それぞれが介護の現場でどう活きるかを1行で言語化してください。この作業を通して、「もう遅い」という不安の多くが、実は根拠のない思い込みだったと気づく方が多い、というのが僕の実感です。

そして、この作業を1人でやるのが難しいと感じたら、無理せず第三者に相談することもおすすめします。自分の経験の棚卸しは、実は自分だけでは気づきにくい強みが多く眠っています。客観的な視点を借りることで、思いがけない発見があることも少なくありません。

皆さんいかがでしたでしょうか。年齢は、介護業界においては壁というより、むしろ武器になり得るものです。まずは15問の適性診断で、自分の強みがどのタイプに接続するか確かめてみてください。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 45歳から介護職に転職するのは遅い?

監修者は介護業界に関して「もう遅い」はあまり当てはまらないと述べています。介護は他業種より年齢の壁が低く、40代・50代からの転職者を積極採用する事業所も関西に数多く存在します。慢性的な人手不足に加え、社会人経験が評価されやすいためで、40代・50代の入職者は決して少数派ではないというのが現場の実感です。

Q. 介護職の体力面の不安にはどう向き合えばいい?

移乗や入浴介助など身体的負荷のある業務は事実として存在します。ただしデイサービスなど通所系の身体介護が比較的軽い施設形態から始める、正しい姿勢や重心といった介助技術のコツを習得する、10年後の働き方まで見据えて施設を選ぶ、といった工夫の余地があります。段階的に確かめていくアプローチが有効です。

Q. 面接で年齢についてどう伝えればいい?

年齢を言い訳にも無理な若作りの主張にもしないことが大切です。「長く働きたい」を施設理念への共感など具体的理由とセットで語り、前職の経験を介護の言葉に翻訳しておくと説得力が増します。面接官が年下でも、面接は一緒に働けるかを確かめる場であり、謙虚さと対等な姿勢のバランスを意識すれば年齢差は気にする必要がありません。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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年齢を、武器に変える

40代・50代からの転職は、介護業界では間口が広い選択です。適性診断で自分の強みを確かめてみてください。

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